58)塀の中   2000.1.30

 先日、ワシントン州レッドモンド市を訪れたとき、マイクロソフト社の敷地の中を横断してきた。アメリカに行ったことのある人なら、ご存じのように会社を囲む塀も門も、もちろん守衛さんもいない。各建物の入り口は厳重なガードがかかっているだろうが、広大な敷地の中をのんびり走っていると、それが会社の中であることも気づかないかもしれない。

 一般の住宅街だって、家と家との間に塀など見あたらないのが普通の光景だ。地域によっては、宅地開発会社が売り出した“団地”などでは、全体を塀で囲ってあるのを見かける。ときたま門を閉めてガードしている“団地”もある。しかし、中に入ると一軒一軒、塀で囲ったりはしていないのが、普通だ。

 狭い土地、狭い家が標準の日本では無理な相談かもしれないが、それにしても何という違いだろう。隣家との間に塀がなければ、自ずと人と人との付き合い方もオープンになるような気がするのだが、囲いに慣れた日本人の思いこみだろうか。
 「あれは危ないよ」という心配も当然ある。けれども、塀で囲ったって、よほど高い塀にしてセンサーでガードでもしなければ、同じことじゃないか、という気もする。すると、やはり日本人の好きな塀は、チッポケな領土意識の表現なのだろうか。


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