30)原発事故       99.10.2

 茨城県東海村の核燃料加工施設で放射能漏れの事故が起こった。作業員が被爆して重体、一時は半径10km以内の住民に屋内待避を要請するという騒ぎになった。しかも事故の原因は「人為的なミス」が濃厚という。

 経済部では「エネルギー」担当は関西電力本社内の記者クラブ「五月会」に所属した。1970年のEXPO70(万国博)で原子の灯をつけた関電美浜1号炉をはじめ、アメリカのスリーマイルアイランド原発など、原発をめぐるトラブル、事故は記者泣かせの厄介な取材対象だった。海外で事故が起こっても「関電は?」というわけで、記者会見やレクチャーは日常茶飯事。原子力の知識などない身には、これが難しい。専門家相手に素人が突っついても真相がわかるはずがない。A紙に原子力関係の学科を卒業した記者がいて、我々は随分うらやましい思いもしたけれども、彼とて専門家集団を相手にすれば、素人。手こずったものだ。

 当時から、良く聞かれた言葉に「フェール・セーフ」というのがあった。原発は事故に備えて2重3重に防御策が講じてあるという説明だ。たしかに、これが働いて原子炉が緊急自動停止し、大事故に至るのを防ぐというケースが具体的にあった。しかし、2重3重の防御で絶対安全という保証はない。まして、今回の東海村の事故の報道を見ていると、素人の私でさえ随分とズサンな作業をやってるんだなということがわかる。あの「フェール・セーフ」の基本はどこに行ってしまったのか。原発の仕組みの難しさに頭を抱えたころから、もう20年。人類の英知は後退したとしか思えない。


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