27)河村良彦被告       99.9.10

 1989年から91年にかけて、中堅商社イトマン(その後、住金物産が吸収合併)から巨額の資金が引き出された「イトマン事件」で、商法の特別背任罪などに問われていた元社長の河村良彦被告に、9日、懲役7年の判決が出た。

 河村被告は、住友銀行常務から経営不振のイトマン(旧・伊藤萬)に乗り込み、見事に再建を果たした。実力主義で名高い住友銀行とはいえ、高校卒の学歴で常務まで出世したのは、やはり異例に属するとの見方が多かったほどの切れ者。イトマンに乗り込んでからの同氏のまともな経営者としてのモーレツぶりを目の当たりにしているだけに、その後の事件は残念でならない。

 当時のエピソードをあげるとキリがないけれども、朝1番に本社ビルに現れ、守衛さんにカギを開けさせたのは、この人。しばらく秘書も気づかなかったという。土曜も日曜日も休まず、幹部・管理職相手との面接を精力的にこなして、人心を掌握するとともに、同社の病巣をつかんでいった。

 私が商社を担当したのはせいぜい2年ほどだから、その後のイトマン事件にはタッチしていない。だから、なぜあんなことになったのか、正確なところは知らない。ワンマン経営が長く続いたケースのうち、最悪のコースをたどった典型だろう。公判中も大阪府知事選などに立候補する同氏を見るにつけ「この人は、いったいどうしてしまったのだろう」とクビをかしげたものだ。判決はまだ第1審。控訴する意向のようだから、けりがつくのにあと何年かかることか。74歳の河村被告。栄光の後の悲惨な人生がまだ続く。


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