22)雑用紙と電算化    99.2.13

 編集に異動して何もかもが初体験のころ、電話で先輩の原稿を聞き書きするのには苦労した。 電話の向こうの先輩記者は急いでいるのが気配でわかるが、こっちはそうはいかない。書くのが 遅いうえに、経済人の名前など有名人でも知らないから、すぐにつっかえて怒鳴られる。

 当時の原稿用紙は2種類あって、字数をきっちり把握できる升目は企画用などに使った。 普段はハガキを一回り大きくしたくらいのサイズの「雑用紙」を使った。これは新聞用紙を 裁断して端を糊付けしたもので、3〜4センチの厚みのが使いやすかった。

 この雑用紙が難物で、紙1枚に1行5文字を縦に3行書く。1枚あたり15字で、新聞記事の 1行に相当した。慣れてくると、書き上がった原稿の厚みを見て行数がピタリとわかる仕組みなのは いいとして、最初の頃はこの1枚に5字×3行がうまく書けない。そのうち意識しなくても書けるように なったが、電話で原稿を取るときに焦った原因の一つでもあった。

 面白いことに、この雑用紙が大阪本社と東京本社では違っていて、東京は雑用紙を横長に置いて、 1枚の雑用紙に1行5字を6行書いた。つまり1枚が30字。新聞記事の2行分だ。大阪から東京に 転勤して、まずこれに面食らったと先輩がよく言っていた。

 こんな話も、いまは昔。新聞づくりはコンピューター化されて、電話で原稿を送って人が書き取る などという作業は消えてしまった。パソコンで原稿を書いて、電話線をつかってホスト・コンピューターに 直接放り込む。輪転機にかけた重い鉛の板は軽い樹脂板に変わり、鉛の活字も消えた。


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