21)総会屋    99.2.7

 警察庁の調べによると、総会屋が10年前の半分の約600人に減っているそうだ。97年の商法改正 で罰則が強化されたのが効いているとのことだが、もっと前の大改正(正確な年月を忘れてしまったが) の時に、経済面で「総会屋」をテーマにした連載企画をやったことを、思い出す。

 経済記者は日頃は警察に取材に行くことなどない。それでも取り締まる側だから比較的取材はしやすかろうと 、まず総会屋と縁の深そうな署に電話したら「署はねえ、ちょっと。夜、家に来てくれる?」 とおっしゃる。社会部に聞いたら「1升ビンを提げて来い」という暗示だという。アホらしくて、一線捜査官 の話の取材はやめにした。

 次は、企業の総会屋担当。当時は広報セクションなどなくて、総会屋も新聞記者も同じ総務部が担当している ところが多かったから、割合話は聞けた。ただし、総会屋の話となると、匿名の条件がついた。当然かもしれない。 「名前は出さない」という条件で総会屋さんを教えてもらって、何人か直撃取材した。

 ある総会屋さんの事務所。「こんにちは〜」と、恐る恐る扉を開けると、ゴルフのパターを持った総会屋 さんが「何?」と、ジロリ。「実は」と用件を切り出すと「へ〜、経済部?珍しいね」と、アンに相違して 親切に取材に応じてくれる。おかげで無事、連載を書き上げることができた。あの総会屋さん、いまごろ どうしているだろう。

 もっとも、総会屋の本性はこんなものではない。公害がらみの企業の総会は荒れるところが多かった。 水俣病のチッソの総会はいつも荒れて、会場を2度と貸してくれてないので転々としたが、とばっちりで 消化器の泡をかけられた。原子力発電反対派の押しかけた関西電力も1株株主でにぎやかだった。 幸之助さんを一目という一般株主で一杯だった松下電器でも、ときに怖い総会屋がニラミをきかしたことも あった。一線を退いて、とんと縁のなくなった株主総会。一度ささやかな株主として、のぞいてみようか。


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