19)松下幸之助さん        98.9.19

 「経営の神様」と言われた松下幸之助さんに、一度だけ単独インタビューしたことがある。

 単独というのは、共同会見でないという意味だが、経済部の先輩と2人で、当時経済面に連載していた「ビジネスマン」シリーズに登場してもらうためだった。たしかテーマは「外国語」で、幸之助さんは「いまどきのビジネスマンは2つくらいは外国語をしゃべらんとあきまへん」と言われた。「幸之助さん(なんて失礼なことは、ご本人には言いませんが)は外国語はどうですか?」と尋ねたら、「私は日本語でも相手がわかってくれるんですわ」と、真顔で答えられたのを覚えている。

 この人なら、そうかもしれないな、と思った。それにしても威圧感を全く感じさせない人だった。経済人、財界人で雲の上とも言えるような地位に駆け上った人には、威圧感を感じさせない人が結構多い。新日本製鐵の稲山嘉寛さん、永野重雄さん、関西電力の芦原義重さん、東洋紡の河崎邦夫さんらがそうだった。新米の記者にも気さくに話してくれた。もちろん、気さくだからといって、勉強しないボンクラ記者は腹の中で馬鹿にしていたとは思うが。


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