3)夜討ち朝駆け      97.1.28

 新聞記者には俗に「夜討ち朝駆け」といわれる習性?があるが、我々は夜討ちは「夜回り」と呼んでいた。 会見では聞けない本音を探るため、要人の自宅を襲撃するわけだが、記者にとって仕事とはいえ、相手にとっ ては招かれざる客。対応は様々で、そこからその人物の素顔が見えてくる。

 例えば、応対するのも仕事と心得て、ベテラン記者も新米記者も分け隔てなく家に上げてくれる人。当たり 前だが、やはり財界なり企業なりで常日ごろ人望のある人は、このパターンだ。不在の時、家の手前に車を止 めて待っていて、目指す相手が帰宅すると若干タイミングをおいて玄関のベルを押す。すると、冬なら通され た部屋がちゃんと暖められている。帰宅した際に記者が待ち構えているのを察知していたわけだ。だが、不勉 強な記者には何もしゃべってくれない。かと思うと、すんなり会えたものの「暑い暑い。ビールをつきあえ」 と、どんどん飲まされて、いい気分になって、うまくごまかされる場合も、結構ある。

 夜8時ごろ家中の電灯がついているので「ラッキー」とベルを押すと「もう寝ました」と、お手伝いさんか 奥さんらしい人の声。「そんなはずが..」と思っても、どうしようもない。招かれざる客なのだから。それ ではと帰宅前に玄関前でつかまえようと、スタート時間を早める。こんな日に限って、夜の12時を過ぎても 帰ってこない。翌日、その会社で秘書に聞くと「夕べは珍しく5時ごろに帰宅しましたよ」と。見事に居留守 を使われた。夜回りには失敗の思い出の方が多い。


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