【ユーロ】
 EUでは、1月1日から、共通通貨「ユーロ」の現金の流通が始まった。しかし、今回は出発が4日だったため、事前に日本で「ユーロ」は調達できず、とりあえず「フラン」を少しだけ持って出発した。

 出発前の予想通り、最初に「ユーロ」決済に遭遇したのは、4日到着したニース・コート・ダジュール空港からホテルに向けて乗ったタクシーだった。「50ユーロ」と運転手。距離と時間からすると「高いな」と感じたが、「持ってるのはフラン」と答えると、メガネをかけていない私には見えないような小さな字の換算表を取り出して「250フラン」と言う。ん?? ユーロに6.5をかけると300フランを超えるはずじゃないか。さては、フランだと吹っかけたのがバレルと思って換算率を切り下げたのかな。字が見えないからよくわからないし、飛行機の長旅に疲れていたこともあって、深く詮索することは止めて「メルシー」で、ホテル内へ。結局、この日は「ユーロ」の現物は拝めなかった。

 2日目の5日以降、レストラン、ショッピング、バス、電車etc...「ユーロ」と「フラン」の2本立てのややこしい旅が始まった。フランを出すと、原則として「ユーロ」のお釣りが返ってくる。一度の支払いに2通りの換算が必要なのだから、バスの乗り降りでも行列が進まない。フランス人も手間取っているのだから、頭の中で「円」との関係まで考える私たちの脳味噌は大変。相手に悪気がなくて間違われても、わかるはずがない。

 ニース近郊のエズ村のレストランでのこと。小銭の「ユーロ」で払おうとして、レジの女性にパンパンに膨れあがった小銭入れの中身をすべて見せて選んでもらったら「足りません」。それではと、いったん「ユーロ」をジャラジャラと引っ込めて、「フラン」のお札を出し直す。すると、ジャラジャラと小銭の「ユーロ」がお釣りで帰ってくる。レジがつっかえるのは当たり前なのだ。小銭入れも1個では足りないほど、いつもパンパンに膨れあがっていた。

 クレジットカードでの支払いでは、必ず「ユーロ決済でいいですね?」と念を押される。このとき、相手が「ユーロ」と「フラン」を勘違いして書いたのを見逃すと、大損をしたり、得をすることもあるわけだから、要注意。決済時にユーロ安・円高が進んでいると、ささやかながら得するんだけど、どうかな。

 6日、マントンのジャン・コクトー美術館でのこと。コピーだが、コクトーの記念の置物を買おうとしたら、クレジットカードどころか、「フラン」も受け付けない、「ユーロのキャッシュ」だけというのだから、あきれた。この美術館は多分お役所経営なのだろう。面倒なことはイヤなのだと推測するしかない。「政府に抗議の投書をするぜ」と嫌みの一つも言いたいが、言えるはずもなく、残念ながらすごすごと引き下がった。

 モナコの地下鉄構内にある飲料やスナックの自動販売機は、一見同じものが2台設置されている。よく見ると、ユーロ用とフラン用に分かれているのだ。1台で2通りの通貨をこなすのは、複雑すぎて得策でないということだろう。2月17日を過ぎると、フラン用はユーロ用に順次改造されるのだろうか。自動有料トイレも、この自動販売機を見習ってユーロ用を増設してくれていたら、もっと旅が快適になったのにと思った。(^_^;)

 8日、ニースを離れるとき、両替屋で、わずかばかり持っていた「円」を「ユーロ」に交換。「フラン」も「ユーロ」に交換しようとしたら「それは銀行に行け」と言う。多分、「フラン」と「ユーロ」の交換は手数料なしの固定レートで国がやるということだろう。これで、ほとんど「ユーロ」1本で考えればいい状態になった。

 フランスでは、2月17日を過ぎると「ユーロ」1本になり、随分楽になる。逆に現在のような過渡期の経験は2度とできないわけで、私たちの経験は貴重だった。歴史の節目に当たった偶然を喜ぶべきだろう。 inserted by FC2 system